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| 10億分の1メートルの世界からクルマを変える |
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【超低フリクションを実現するナノテクとは?】
とかくこの世は摩擦が多い。機械も人間関係も……? しかし、ヒトの感覚をはるかに凌駕した超極小の世界に 摩擦をなくすテクノロジーがあるという 今回は長さの単位で言うと10億分の1メートルの 「ナノメートル」の領域から進化する 自動車工学の世界を紹介しよう 昔「ミクロの決死圏」という映画があった。脳内出血を起こしたVIPを救うために、潜航艇ごと医療チームを縮小光線で縮めて注射器で体内に送り込むというストーリー。40年も前のCGなんてない時代の「SF特撮映画」である。この映画のおかげで、ある年齢より上の人たちにとって、極小サイズを表す単位として「ミクロ」は一般的になった。今、ミクロンはマイクロメートルという単位に改められたが、10-6(10のマイナス6乗)mは極限の小ささであった……はずだ。 今、クルマを取りまくテクノロジーの世界では、ミクロなんて大きすぎてお話にならないようである。命をかけて決死圏に挑もうにも、鼻の穴すら通過できないのだ。 10-9(10のマイナス9乗)m「ナノメートル」は、もはや原子レベルの大きさの世界。ナノテクノロジーとは、物質を原子レベルの大きさでコントロールして利用する技術のことなのだ。 クルマに応用され始めているナノテクノロジーは、原子や分子のひとつひとつを組み合わせることで生まれる新しい機能を活用しようというもの。ナノテクノロジーの応用としての極致にはナノマシンの概念があり、その先には……やめておこう。ミクロ世代には今実感できるナノテクノロジーがわかればいいのだ。 TEXT & PHOTO:編集部 ● 長さの単位(SI単位) ![]() ●2〜10μmの金属粉末をプラスチック同様に射出成形することで自由度の高いパーツ成形が可能になる。しかし、これはまだ「マイクロ」の領域。 ●同様の金属粉末を使用した発泡金属。金属粉末で発泡体を作り、発泡スチロールのように固めたもの。衝撃緩衝材への利用が考えられている。超低フリクションを可能にした ナノテクノロジーとは? すべては抵抗と摩擦を減少させるための技術開発 ナノテクノロジーと銘打った最新技術を2つ紹介しよう POINT1 日産自動車 超低フリクション皮膜と水素フリーDLCコーティング エンジン部品間で生じるフリクション(摩擦)を低減するために、水素フリーDLCコーティングと特殊なオイルを組み合わせた「超低フリクション化技術」。DLC(ダイヤモンドライク・カーボン)とは炭素薄膜材料のことで、ダイヤモンドに近い硬度を持つ素材。DLC薄膜は耐摩耗性が高く摩擦係数も低い。また潤滑性にも優れることから、この2つの素材を組み合わせることでフリクションを極限まで低減するのが目的だ。水素フリーDLCコーティングに特殊なオイルでナノメートルレベルの薄さの皮膜をはり、従来のエンジンと比較して約40%のフリクションを低減したという。 ●水素フリーとは水素を取り除くこと。コーティング膜に水素が含有するとオイルとのなじみが悪くなる。 ●水素フリーDLCコーティングを採用することで、オイルとの結合性を向上させることができる。POINT2 住鉱潤滑剤株式会社 ナノトライボロジー技術 住鉱潤滑剤から発売されたばかりのナノブーストは、オイル粘性を維持しながらシール効果を高めるという相反する問題を解決する潤滑剤だ。有機モリブデン化合物、特殊有機金属化合物、さらに新素材のナノカーボンを配合することで、低い温度域から優れた低摩擦効果(ナノトライボロジー効果)を発揮する。10-9mサイズのナノカーボンが摺動面間に介在することで、形成された有機モリブデン被膜との相乗効果で金属接触を防止して、低摩擦効果を発揮するという。日産のナノテクノロジーは日産車を買わないと体感できないが、こちらはエンジンオイル添加剤。だれでも試すことができるナノテクノロジーだ。 ●ナノブーストの特長は低い温度域でも潤滑被膜を形成すること。冬のエンジン始動時でも有効だという。▼今号のチェックポイント 超低抵抗、軽量化が示す 自動車技術の目指すもの クルマで金属同士が擦れ合う箇所を数えたら、いったい何カ所になるだろう。それらのすべてに摩擦抵抗があり、トータルで失われるエネルギーの量は……なんて考えると眠れなくなりそうだ。今、クルマのパーツ業界が直面している最大のテーマは環境問題。製造過程で汚染物質を出さないことはもちろん、最終的には燃費をあげるための低摩擦、低抵抗が求められている。 もし、ナノテクノロジーの進化で摩擦がさらに減少したら……? クルマの進化は止まらないのだ。 |
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