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今年のル・マン参戦を目指す東海大学のチャレンジ 2007年03月28日(水)
【夢に向けてスタディカーは進化する】

動力や輸送機械技術の発展に寄与するエンジニアを育成するのが東海大学・動力機械工学科の目標だという
その目標達成の一環として掲げた夢には、なんとあの世界的な耐久レース、ル・マン参戦も含まれている
一昨年にスタートしたプロジェクトの達成に向けて、学生たちのチャレンジは着実に進化しているようだ


 東海大学は個性あふれる教育方針を持つことで知られている。数多くの個性的教育のなかでも、とくに有名なのがレーシングカーの開発だ。
 ヨーロッパの大学機関などでは、教育の一環としてレーシングカーの開発などを行うことも多いが、日本の大学でこうした活動をしているのは、まれなことだ。
 東海大学が開発しているのは、ル・マン24時間レースを目標にしたマシンで、その指揮をしているのが動力機械工学科の林義正教授。林教授はもともと日産の開発者で、全日本スポーツプロトタイプカー(グループCカー)で3年連続優勝したときのエンジンを開発した人物だ。
 昨年、スポーツランド菅生で行われた実走行テストに引き続き、今年は富士スピードウェイでの走行テストを実施した。
 早ければ2007年のル・マン出場と銘打って始まったプロジェクトだけに、今回のテスト走行ではニュートラル走行による空気抵抗の算出、舵角周波数の違いによるヨー運動変化の解析、騒音計による排気音測定(ル・マンのレギュレーションへの適合)などを含んだ、より実戦に近づいたものとなった。
 複数のピットインを含んだ走行は無事に終了。金銭面などむずかしい側面は多く残っているものの、ル・マンへの道を着実に歩んでいるように感じることができた。日産に奇跡をもたらした林マジックが甦って、東海大学に大きな軌跡を残すことに期待したい。
PHOTO&REPORT=諸星陽一


日産時代、数多くのマシンにかかわってきた林義正教授。レースにかける情熱は今も変わらない。







テストドライバーを務める鈴木利男選手。林教授とは、日産時代から深い交流を持っている。







テストドライバーを務める密山祥吾選手。スーパーGTやフォーミュラニッポンなど、豊富な経験を持つ。










夢の実現に向けて
いかに戦闘力を高めるか?


ル・マン挑戦を前提としたマシン制作という型破りな実践教育をする東海大学
学生たちの夢の実現に向けて、課題も多いようだが
産学共同研究など着実な成果も残している



POINT1 超高速エンジンの実態が見えてきた

 実戦用として展示されていたスタディカー用のエンジンYR40T。
 インテーク&エキゾーストの設計は学生達の手によるもの。従来各気筒に装着していたスロットルを各バンクに変更(8スロットル→2スロットル)して、信頼性の向上をはかるなど、まさにル・マンを前提としたセッティングが行われている。
 製造を担当するのは、汎用エンジンやヒートポンプシステムを製造するYGKという企業。


エンジン吸気量を制限しない状態で、950馬力以上の高出力を発生する実力を秘めている。







POINT2 参戦に向けて産学協同研究は進む

 東海大学では産業界と共同で研究開発を行い、実際に製品化を目指す産学協同研究に力を入れている。
 かつて大学は研究機関としてのみ存在し、製品を生み出すなど利益につながる部分とは一線を画していた。しかし、現在は東海大学のように産業界と密接な関係を持つことで、膨大な研究費などを捻出するパターンが増えてきている。
 東海大学の産学協同研究は、確実な成果をあげていて、数多くの製品が実際に製造され、市場で販売されている。


YL08と呼ばれるエンジンを使用するYGK製のジェネレーター。デザインは、なんとピニンファリーナ。







燃費向上を支援するエコドライブという製品。大型トラックなどでは、飛躍的な燃費向上が期待できる。







今号のチェックポイント

新発想のエンジンで
伝統のレースに挑むには?


 レース、それも世界でもっとも過酷と言われるル・マン24時間レースへの挑戦という大きな目標を立ててマシン開発を進める東海大学の林チーム。突拍子もないことだと思っている人も多いが、実現に向けての歩みは確実に進んでいる。新しい発想と、ひとつひとつの問題をクリアしていくことがレース参戦、そして優勝への道である。これは学問や研究の進め方とまったく同じで、ル・マンチャレンジと研究はピッタリとリンクするものなのだ。

 
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