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みんなが待ちこがれたあのクルマがついに 2007年10月18日(木)
REPORT of Month
NEW ARRIVAL OF
FIAT 500

文●渡辺敏史 写真●フィアット・グループ・オートモービルズ・ジャパン


みんなが待ちこがれたあのクルマがついに

 少なくともイタリア国内で、このクルマがいかに待ち望まれたものであったかということは去る7月4日、トリノでの発表会に参加して唖然とするほど感じ取ることができた。
 街の真ん中を流れる河のほとりで夜10時から始まったその発表会は、新車1台のお披露目としてはまったく経験したことのない凄まじいスケールだ。0時を軽く回る辺りまで事故のように乱れ打ちで上がり続ける花火、その間に繰り広げられる幾つもの大がかりな見せ物も含め、その騒ぎはまったく常軌を逸したものである。プロデュースはトリノ五輪の開閉会式で総合演出を担当したお偉いさん、そして一説にはこの日のローンチイベントだけでフィアットは10億に近い予算を投じたというから、ともあれその意気込みは尋常ではない。しかしその対価には余りあるイタリア国民のありえない盛り上がりをみていると、フィアット500というブランド自体が彼らにとって精神的な支柱となっていることを痛感させられた。ともあれ、これほど愛されるクルマの幸せの一片が舞い込むのなら買っても悪くないんじゃあないか。そう思わせるほどのドンチャカぶりなわけである。
 日本市場は当面の予定として、来春に1.2Lと1.4Lの2ペダルMT右ハンドルが導入される予定だという新型フィアット500。その元ネタは既に日本にも導入されてお馴染みのニューパンダだ。そして100馬力を発揮する1.4Lエンジンもグランデプントで上陸している。中身的なところでの鮮度は薄いが、ニューパンダといえばこのクラスでは屈指の出来と太鼓判を捺せるクルマゆえ、期待値は高い。一方でパンダは快適性や質感の面でライバルに見劣る部分があり、そこが商品力のネックにもなっていた。
 平たくいえば新型フィアット500はまさにそういったパンダのネガをきちんと潰したクルマといえるだろう。多くの人が知る2代目の外観のみを意匠的に模したというだけのクルマではない。個々のパーツはきちんとデザインされているばかりでなく、質感もきちんと吟味されている。乗って明らかに違うのは静粛性の高さ、そしてタイヤサイズを加味すればバイブレーションの類がしっかり減じている点だ。パッケージの練度も含め、企画モノの一発芸にあらず、という意思は充分に伝わってくる。
 走りはパンダが持つ素晴らしいロードホールディング性能や上屋のロール管理性能をそのままに受け継ぎつつ、軽快感も損なわれてはいない。回して全力で走るイタリア車らしさを愉しみとして見いだすなら、むしろ選ぶべきは1.2Lのベーシックモデルだろう。ニューミニ的なカテゴリーのクルマではあるが、走ってナンボの部分を純粋に比べると、総合的な魅力はなんら見劣りがない。待ちに充分値するクルマである。



旧い石畳路の連続入力にも音を上げない足回りはこのクルマの大きな魅力。ゲインに対するロールの間合いや深さも絶妙で、安心して全開にできるイタ車らしい充実感が味わえる。







内外装の質感はフィアットとして充分に頑張ったといえるもの。デザイン優先的なシートだが掛け心地も悪くない。後席を含めたパッケージもサイズ相応に練られている。


トリノを埋め尽くした数百台のオリジナル500。発表記念イベントは全土で展開された。








PROFILE
渡辺敏史
ハードとしてはもちろん、クルマ世相にも精通した造詣の深い語り口に定評のある自動車ジャーナリスト。ルポGTI を所有するなど、コンパクトカーは「かなり好き」派。

 
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