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バック・トゥ・ザ FRアルファ! 2007年12月06日(木)
REPORT of Month
NEW ARRIVAL OF
ALFA ROMEO 8C COMPETIZIONE

文●渡辺敏史 写真●フィアットグループオートモビルオブジャパン


バック・トゥ・ザ FRアルファ!

 以前、旧いアルファロメオのジュリア系FRに乗って、その走り味にびっくりしたことがある。たしかに独特の角度で据えられたステアリングコラムの支持感やシフトレバーの操作感などはクニャクニャしていたものの、裏腹にきちんとリフレッシュされたボディやアシは驚くほどカチッとしていたという。
 8Cに乗ってまず頭を巡ったのは、マセラティフェラーリとの近似値を探るような意地の悪い思いではなく、昔からのそういうアルファとこれは一脈通じているのではないかということだった。適当な捌きではドリフトなんかに持ち込むこともままならないほど後軸は路面との密着感に満ちている。そんな状況でも前輪の操舵はきちんと効き、四隅に居たるまで一体感をもって把握することが出来るのは、まさにジュリア辺りのアルファのそれだ。少なくとも僕らがよく知っているFF系のそれとは全然違う乗り物である。
 アルファの名がつくFRとしてはES30のSZ以来だろうか。ザガートではなくチェントロスティーレ=社内デザインによる8Cの表皮は、そのほぼすべてがカーボン製となる。フロア側とは接着剤とリベットによって剛結されるなど、その構造はかなり特殊なものだ。
 その名が示すとおり、8気筒のV型エンジンはフェラーリF430マセラティクアトロポルテ等に使われるもの。それのボア×ストローク比はほぼそのままに4.7Lまでスープアップし、パワーは450馬力を発揮する。油脂類を搭載しての車重はこのテのクルマとしては軽めの1585kg。FRにして49:51の前後重量配分を実現できたのはトランスアクスルレイアウトを採用したことが大きい。やはりフェラーリマセラティが採用するグラツィアーノ製の6速ギヤボックスはマニエッティの2ペダルシステムによってリンケージされ、2種類の変速マネジメントの早い方を選べば0.2秒で変速を完了するという。
 8Cはダッシュボードを始めとする車内の骨格にもドライカーボンを積極的に採用しており、削り出しのアルミ剤がトリムとして効果的に配される。シート表皮はポルトローナフラウ製となり、完全2シーターのリヤキャビンスペースに3分割でピッタリとフィットするスケドーニのバッグはオプション設定だ。たとえばF50のような、オールカーボンボディ特有の神経質な共音振は入念に処理されている印象で、エキゾーストノートも含め、その味付けは大人のストリートGTという一面が重視されたのだろう。
 揺るぎなく仕上げられたとことんニュートラルなFRのパフォーマンスが、始終軽快かつしなやかな乗り心地にくるまれる。極めて高いレベルで常識的なその成り立ちからはフェラーリマセラティとの関連性を伺えない。アルファとは伝統的に正直な運動性のクルマ。8Cはそれを証する企画でもあったのだろう。



薄いマットコートが施されたドライカーボン骨格に、控えめに本アルミ&レザートリムが配されるスパルタンな車内。一方で、操作モノの触感やスイッチ類の仕立て品質などはスペシャルらしく細かな気遣いが施されている。


専用仕立ての4.7L V8はやや低めのサウンドを響かせつつ、レブリミットまでカッチリと仕事をこなすタイプだ。






おおむねコンセプト通りに再現されたスタイリング。表皮はほぼ全てがカーボンとなり、上屋の軽さは実際の走りでも相当に効いている。






PROFILE
渡辺敏史
超売れっ子の自動車ジャーナリスト。理論だけではない、愛情に満ちた独特の感性によるクルマ評論には定評がある。

 
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