目覚めたら空っ腹にココアを流し込む
ホンダの単気筒乗りが定刻にやって来た。
249ccエンジン。
耳を澄まさなくてもすぐに分かる、軽快でテンポの良い鼓動が目の前でとまった。
20年の時が経ったのも信じられない位、彼の
ホンダには艶があった。
何処から見ても輝いている美しい単気筒。
彼のココアで満たした胃袋に缶コーヒーをすすめた僕は、しばし彼と会話を楽しんだ。
これから2台で走る期待感にワクワクしながらタバコを吸った。
出発の時間と目的地は前もって決めていたから、すんなり2人は
オートバイに跨る事が出来た。
僕は
カワサキに、彼は
ホンダに跨った。
ツインとシングルのエンジンが同時に鳴り響く。たまらない瞬間。
主要道路を車の流れに逆らわず走った。
僕の
ツインが先頭、シングルが後に続く。
車が途絶えた太く長い道路で、2台が緩やかなカーブに差しかかった頃、僕の
ツインのバック
ミラーにシングルが映って見えた。
ライトオンした
ホンダのシングルは
オートバイとしての美しさを十分持っていたし、何より彼のライディングフォームとシングルが一体となった姿は見ていて大変微笑ましかった。
短い夏が足早に過ぎた初秋の晴天・・・
青い空に彼の
ホンダは綺麗に溶け込んで見えた。
海からの風を心地よく感じられる高台で
カワサキと
ホンダを並べてみたのも自然に起きた行為だし、休憩後、又走りたくなったのも自然に起きた感情だった。
1977年式の
カワサキは空気にとても敏感で、その日感じた風は
カワサキのキャブには最適に思えた。
吹けが良かったし・・気持ち良かったから。
6000から7000回転へと
カワサキを回すと、後方に幾分オイル臭い排気ガスを出すようになる。
当然気分がノッた時しか回さない回転域だ。
後ろを走る彼は十分過ぎる程
カワサキの排気ガスを吸い続けた。
山の中を軽快に進むと一軒のスタンドがある。
スタンドと言っても胃袋を満たす為のスタンド。
つまり、食堂がそこにはあった。
昼間は中華屋で夜には酒場になる不思議な店。
そこで贅沢な具の乗るラーメンを一杯ずつたいらげ、その場を後にした。
本格的な秋にはまだ時間があったが、風は夏の風では無かった。
秋を感じる風は革ジャンを着た体に丁度良かった。
一気に2台は山を上り、風呂屋へと着いた。
勘定を払い風呂に入った。
オートバイで痺れた体を湯船で癒し、湯上りにラムネを1本ずつ飲んだ。
「まったりした」と彼は言った。
僕も心地良くまったりしていた。
彼と僕は秋を走った。
それは彼が
ホンダのシングルに魅せられて行く秋の始まりかのように。
私も27〜28年前 乗っていました
今は Z200をレストア中です
カワサキ IS NO.1 ですね