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550レックス緊急手術!!(4)最終回  2008年07月06日(日)
こんばんは。

いよいよ大詰めのレックス緊急手術。毎日のように現れる新しいオーナーさんは作業の進行状況が気になってしかたがない様子。私も後が詰まっていますので早く終わらせないと次のクルマにかかれません。ということで今日が最終回です。つまり、完成します。



ドライブシャフトを取り付けます。画像の1の矢印がスプライン部です。スバルではこのようにミッション(デファレンシャル部)からスプラインが突き出しています。他メーカーではほとんどがドライブシャフト側からスプラインが突き出しています。さらにスプラインの赤く○で囲ったところに穴が開いていて、2の矢印の部分にちょっと刺さっているピンを貫通させて固定します。穴の位置を合わせて組み付けないとピンが入りません。



これが組み付けた状態。左右とも同じ作業です。これで動力がタイヤにまで伝わるようになりました。ちなみにヴィヴィオからはこのピンが無くなり、代わりにスプラインの先端近くにCリングが装着され、そのCリングの外側に広がろうとする力でドライブシャフトをロックします。



次に排気関係を組み付けていきます。このレックスではエキゾーストマニホールドがミッション方向へ90度曲がっており、ここも特殊な作りになっています。触媒と一体となったEXマニホールドはラジエターのすぐそばを通り、ミッション下でフロントパイプに接続します。冷却効率を考えるとあまり良い取りまわしとは言えませんが、極力エンジンを下の方に搭載し、重心を低く抑えようという考え方からこうなっていると思いますので、そういう意味ではなかなか凝った作りだと言えます。



すべてを組み付けてエンジンがかかった瞬間の画像。2気筒エンジン独特の「コトコトコト・・・」という振動とともに軽快に回っています。クランクシャフトからの音も完全に消えてとても良い状態です。最終の調整&チェックを行い、完成となりました。



試運転でもスーパーチャージャーの威力と本調子になったエンジンのパワーが余裕の鋭い加速を生み出しています。とても速いです。550ccの2気筒エンジンでありながらスーパーチャージャー+大型のインタークーラー、4輪独立のサスペンション、前後ともに装備されたスタビライザー、フロントブレーキはベンチレーテッドディスク・・・そして620kgの軽量ボディと走りに対しての当時のスバルの意気込みが存分に味わえるクルマです。こういうクルマにはいつまでも元気に走り続けていてもらいたいものです。新オーナーさん、お待たせいたしました。心行くまでご堪能ください。

では私は次のクルマにかかります。


   
550レックス緊急手術!!(3)   2008年07月02日(水)
こんばんは。

ウチのチビの保育園では「水遊び」が始まりました。いよいよ夏です。ムシムシしたキモい熱さに耐えながらの作業が始まります。

さて、ふたたびエンジンを「担ぐ」日がやってまいりました。エンジンマウントが入荷したのです。



「せぇ〜のっ!!」で持ち上げるとやはりそんなに重くもなく膝上まで持ち上がります。そのままノッシノッシと歩き、車体に近づきます。事前に配線やホース、エアコン関係の部品をよけておいたのでそのまま前進し、エンジンルームにスーっと入っていきます。あらかじめ下にはジャッキをある程度の高さまで上げてスタンばっておいたのでそこにゆっくりと下ろします。その状態でギシギシ位置を調整してエンジンマウントを締め付けます。



マウントだけが真新しいのがよく解かりますね。新品のマウントを取り付けるとエンジンがプルプルします。意味が解からないですよね。古いマウントのままエンジンを乗せると潰れきったゴムなので揺らしてもグイグイときしむようにしか動きません。新品だと新鮮なゴムなので伸縮幅が大きく、弾力もあるので揺らすとプルプルするのです。



古いエンジンマウント。「潰れきった」という次元を超えてちぎれています。20年間、よく頑張りましたね。ちぎれてもなお、エンジンを支え続けていたのですから。後はゆっくりと天に召されていただきます。



乗ったエンジンにフライホイールを取り付けました。ここにクラッチディスク、クラッチカバーが付きます。さらにミッションが付きます。クラッチの取り付けは簡単ですし、あっという間なので省略です。その後ミッションを取り付けます。センターシャフトの取り付け穴をめがけて一気に持ち上げ、速やかに挿入します。いくら軽いとは言っても人間の腕力でいつまでも支えていられる程ではありません。車体の下に潜り込み、両手両足をフル活用してガコガココジりながらスポッと入るまで頑張ります。ここは手が離せなくなります。今回はスムーズに入りましたが、なかなか入らないクルマも多数あります。そんな時はとにかく頑張るしかないのです。まさに体力勝負な場面です。



スポッと入り、ボルトを締め付けて固定。ミッションのマウントも固定した状態です。これでレックスの心臓部はすべて搭載完了となります。あとは細々と周りの部品を元の位置に戻していきます。

峠は越えました。あと少しです。次回はドライブシャフトやマフラー等の取り付け辺りのレポートですかね。まだまだ何台ものクルマが作業を待っているのでさっさとやってしまいましょう。熱いし。

ではまた。


   
550レックス緊急手術!!(2)   2008年06月29日(日)
こんばんは。

雨です。静かな雨の日曜日です。昨日は怒涛のお客さんラッシュだったのに、今日はとても静かな日曜日。こんな日は作業もはかどり・・・と言いたいところですが、部品待ち状態だったりします。古いクルマはスムーズに入荷しないのが痛いところです。



とはいえ、クランクシャフトを組み付けました。真新しい新品のクランクシャフト。とても贅沢な景色です。バランサーシャフトを駆動するチェーンがよく見えますね。これもタイミングベルトと同様に合いマークをしっかりと合わせて組まなければなりません。



タイミングベルト側から。オイルシールも当然新品。画像のクランクシャフトの上にあるフタの中がウォーターポンプです。反対にクランクシャフトの下にある黒っぽいフタの部分がオイルポンプです。それぞれバランサーシャフトの回転軸上にあって同時に回転されます。



フライホイール側。こちらもオイルシールは当然新品。クランクシャフトの尻が光輝いています。あとはオイルストレーナーを付けてオイルパンを被せるとエンジン内部は完成です。ちぎれたエンジンマウントが入荷しないので作業はここまでとなります。今回は素手でエンジンを乗せるのでこの段階で周りの部品をいろいろ取り付けていくと重くなるので極力乗せてから取り付けます。

クラッチ関係の部品も新品になります。これはエンジンが車体に乗ってから組み付けます。はやくマウントが来ないものでしょうかねぇ・・・。明日からは同時進行で他のクルマの作業も始めなければなりません。忙しくなります・・・。

この作業のレポートでできるだけ引っ張れるように今日はここまで。何回かに分けて更新していきます。意外と反響が大きかったもので・・・。

ではまた。


   
550レックス緊急手術!!(1)  2008年06月25日(水)
こんばんは。

世の中、予期せぬ出来事はけっこう起こるものです。今回のレポートもまさにそんな感じの出来事・・・。驚くような名場面、珍場面の続出です。

そもそもの始まりは長年乗り続けていたこのレックスの前オーナーさんの買い替えによる入庫でした。そのレックスはほとんどキズもなく、事故等もやっていない極上と言えるレベルの状態でした。当店のホームページに紹介し、すぐに「欲しい!!」という方が現れて、整備にかかりました。エンジンの中身もしっかりオイル交換されていたことがすぐに理解できるような、とても20年間現役で走り続けてきたクルマとは思えない程キレイで、美しい黄金色に輝いておりました。

整備も終り、試運転に出かけた時のこと。ほんの一瞬、普通に走っていたら気づかないくらいかすかに「カリカリ・・・」という音が出ていることに気づいてしまいました。1度気になるとそればかりが耳に入ってきます。何度走ってもクラッチを繋いで走り始める瞬間にその音は聞こえるのです。点火時期やその他各部の調整も万全に行っているだけに、すぐに原因は解かりました。



クランクシャフトの交換作業に入りました。まずはジャッキアップして下に潜り込み、エンジン、ミッションのレイアウトを思い出すように確認します。このレックスの2気筒エンジンはもう10年以上下ろしたりバラしたりしていません。寝板に寝転がりながらしばらく眺めます。「周囲の隙間具合を考えればエンジンだけ残してミッションを下ろし、その状態で交換できるかもしれん・・・。」そう考えた私はその考え通りに作業を進めるのでした。



ミッションを下ろし、エンジンのみになった状態でそのエンジンを固定しようと腕力だけでグイッっとズラシてみました。すると思いの他軽く動きました。あまりにも軽く感じた私は拍子抜けと言いますか、おもわず笑いがこみ上げてきて力が抜けました。「か、軽い!!これ、わざわざこんな中途半端な状態で固定して作業するよりもそのまま力だけで下ろせるんじゃねーの?」そんなことを思い始めました。いくつかのホースや配線を外し、「よっ!!」と抱きかかえてみると・・・なんと普通に持ち上がるではありませんか!?で、そのまま下ろしたのが上の画像という訳です。



試しに、下りてからいつものようにチェーンを引っ掛け、そのチェーンを持って持ち上げてみると・・・肩にかけられるような雰囲気。腕を通し、チェーンを肩まで上げてそっと支えていた右手を放すと・・・「オォッ!!初体験!!ショルダーバッグのようだ!!」バカみたいに1人でそんなことをして遊んでる私・・・。自己満足にも程があります。こんなシーンをお客さんや出入りしている業者さんにでも見られたら・・・。バカですね。



さて、話しを戻してオイルパンを外した画像が2枚。キレイです。これまで何台ものエンジンをこうして見てきましたが、久しぶりにとてもキレイなエンジンです。ちなみに作業はエンジンを横倒し状態にして進めています。これも普通に私の腕力だけで簡単に倒せます。しかし、どうしてこんなにキレイなエンジンなのにあんな「カリカリ」音が出ているのでしょう・・・?自分の診断ミスではないだろうか・・・?そんなふうに思えてしまうくらいキレイです。



作業を進め、クランクシャフトが外れた時、やはり私の判断は正しかったということがやっと確認できました。画像はクランクシャフトを外し、残ったピストンです。裏から見ていますが、これも非常にキレイです。試しにコンロッドを引っ張ってみましたが、1気筒目はバルブが閉じているので引っ張ってもちょっと動いては吸い込まれるように元に戻ろうとします。かなり力を入れて引っ張っても引き出すことはできません。ものすごい密閉状態です。2気筒目はバルブが開いているので引っ張るとニュニュニュッと出てきますが、こちらもしっかりとピストンが密閉しているのでけっこう力が要ります。これだけ圧縮がしっかりしていればピストンをイジる必要はまったくありません。



で、例の音の原因がコレです。メタル。中央の大きなヤツはキレイですがその左にあるものや右にあるもの等は表面が削られ、銅が露出しています。ここまで磨り減っていればそりゃあ音も出ます。よくあんなかすかな音で済んでいたものです。でも・・・どうしてこんなにキレイなエンジンなのにこんなに磨り減っているのでしょうね?オイルの循環も良好ですし、まったく他の部分に損傷や磨耗、故障等は見当たりません。



外したクランクシャフト。これは交換しますので廃棄処分ですが、メタルの当たる部分にはやはりキズが付いています。この型の後、4気筒になったレックスではカムシャフトが弱く、かなり少ない走行距離のクルマでも「カンカンカン・・・」というけたたましい音がよく発生していたことを思い出しました。「アレだ。」2気筒の時代にはカムシャフトではなくクランクシャフトが弱かったのです。「弱かった」というよりも、「負荷が多くかかっている」為に寿命が短くなっていると言った方が正しいですね。というのも、クランクシャフトの両脇にはバランサーシャフトが付いていて、その2本のバランサーシャフトをクランクシャフトに鋳込まれているスプロケットを介してチェーンで回転させているのです。そのチェーンはウォーターポンプ、オイルポンプが一体となったブロックのすぐ後に付いています。この構造ゆえ、チェーンから遠い位置のメタルが偏磨耗を起します。極端に言えば、チェーンの力によってクランクシャフトに偏った方向に力が加えられているのです。ですから、そのまま20年も経てばいくらオイルがキレイであってもこのような現象が起こってしまうのです。

あとは部品が到着したら組み付けにかかります。いつものような大変な作業にはなりません。なにしろ自力で持ち上げられるエンジンですからね。一応タイトルには(1)って入れておきましたが、良くて数回のレポート、最悪、次で終り的な軽いレポートになりそうです。

ではまた。


   

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