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« 中野自動車の「ある日」| Main | セルボモードSR−FOURオーバーホールレポートPART.2 »
あの名車が甦る(6)  2006年03月25日(土)
なんだかすごい反響です。ご覧いただいて本当にありがとうございます。アクセス数はもとよりご覧いただいた方々から多数のメールをいただきました。ぜひとも最後までお付き合いいただければと思います。よろしくお願いします!!

さて、今日からシリンダブロックの組み立て作業が始まります。が・・・。想定外の出来事が!!



エンジンのオーバーホールの作業では、内部部品を組み付ける際に必ずエンジンオイルを塗りたくって組み付けます。これは組み上がって最初にエンジンを始動する際にオイルの油膜を作っておき、「かじり」と言われる金属同士の摩擦による損傷を防ぐ意味があります。しかし、エンジンオイルは長い時間油膜を保持することはできません。そこで写真のケミカルを使用します。和光ケミカルの「エンジン組み付けペースト」です。濃い緑色がなんとも毒々しいですが、これをオイルの代わりに各部品に塗りたくり、組み付けます。このペーストは前述の「かじり」を長期間放置しても防いでくれるスグレモノ。まぁ、今回はそんなに長くは放置しませんが、色が付いていることでどのくらい塗ったかもひと目で解かるし、作業の効率や完成後の安心感からこれを使用しています。ちなみにこのペースト、始動後はエンジンオイルに混ざって溶けて無くなってしまいます。すばらしいですね。もはや当店では無くてはならないケミカル用品になっています。



そのペーストを使ってピストンリングを取り付けたピストンです。塗ったところが緑色になっていてすぐに解かりますね。ピストンリングはやはり新しいと「張り」が違います。交換前と比べるととてもしっかりしているのが良い感じです。ピストンリングは1つのピストンに対し合計3本であると以前お話ししました。このうち一番下(写真では上になりますね)がオイルリングで真ん中と上(写真では下になりますね)がコンプレッションリングであることもお話ししました。このコンプレッションリングにも1番と2番が存在し、セットの中でもしっかり見分けて装着しないといけません。整備士の中でもここを忘れてしまうヒトが結構多いようです。注意したいところです。



ピストンリングを組み付けたピストンをシリンダに収めます。ここではピストンリングコンプレッサーという特殊工具を用いて、ピストンリングを縮めておいて収めます。順番、向きを間違えないようしっかり確認して入れていきます。4つとも収まった状態が写真の状態です。1番と4番が上死点、2番と3番が下死点の位置にしてあります。これはクランクシャフトを組み付ける際にシャフトのカタチに合うようにこうしてあるのです。重要なのはヘッド部をこの上に乗せて組み付けていく作業の中で、常に第1気筒目が圧縮上死点になっていることです。これがエンジン関係の作業すべての基本の状態なのです。その為にこのようなカタチに組み付けます。



シリンダブロックをひっくり返しました。コンロッドに組み付けてあるメタルにもペーストを塗ってあります。ここには各コンロッドに上と下各1つづつメタルを組み、合計8個のメタルが必要になります。各コンロッドの間にはクランクシャフトの軸受けがあります。4気筒エンジンの場合は全部で5ヶ所。それぞれに上と下のメタルが付き、合計5組10個のメタルが必要です。が・・・ここで問題が発生!!届いていた部品はコンロッドのメタルが4組8個。これは問題ありません。軸受けのメタルが4組8個。1組足りません。なぜかスズキではコンロッドのメタルは2個1組で4セットというカタチで部品が来るのですが、軸受けのメタルは4組8個で1セットになっています。明らかに3気筒エンジン用の数です。部品屋さんに確認してみると「品番は合っている。なのに1組少ないのはおかしいねぇ・・・。」とのこと。スズキに確認してもらう。しばらくしてスズキの部品センターから電話が。
センター「お話しのクルマは4気筒のタイプですよね。」
私「そうだよ。」
センター「ということは5組で10個ないといけないですよね。」
私「そうねぇ。」
センター「4組しか入ってないですか?」
私「そうねぇ。」
センター「コンピュータの検索では品番正しいことになってるんですよねぇ・・・。」
私「そうねぇ。さっき聞いたよ。」
センター「スズキ本社に確認します。今日は本社が休みなので月曜日のお返事になっちゃうんですが良いですか?」
私「そうねぇ。しょうがないもんねぇ。」
ということで作業が止まってしまいました。まさに4枚目の写真の状態で止まってしまいました。そこでその時間を利用してヘッド部の洗浄をしておきました。まだ完了ではありませんがかなりキレイになっております。

さて、月曜日にどんな返事が返ってくるのか・・・。ちなみに明日はそんな訳で予定を変更して先にヘッド部の作業を行います。お楽しみに。

※皆様からいただいたメールで最も多かったお問い合わせなんですが、「このSR−FOUR、お値段はどのくらいになりますか?」というのが多数ありました。すいません。正直、まだなんとも言えません・・・。全部でいくらくらいの部品代金になるのか見当がつくまで今しばらくお待ちください。私としてもできるだけ「おぉ!!安い!!これだけの整備をやってあってこの値段は安い!!」と皆様に思っていただける価格を目指してがんばっておりますので。よろしくお願いします!!


   
あの名車が甦る(5)  2006年03月24日(金)
なんとか今日、シリンダブロックの洗浄が終りました。が、昨日の記事にも書いた通り、組み付けまではできませんでした。そこで今日は洗浄したシリンダブロックやピストンをご覧いただこうと思います。



写真右側から第1気筒目。4つのシリンダーの周りにはウォータージャケット(冷却水が通る通路)やオイルライン(オイルが通る通路)がたくさんあります。この面にシリンダヘッドガスケットが乗るんです。さらにその上にヘッド部が乗ってガスケットを挟みこむ訳です。したがって、元々付いていたガスケットのこびりついたカスなどが残っているとしっかり密着できずに漏れが発生してしまいます。また、今回は心配ありませんが、オーバーヒートやタイミングベルト切れでのオーバーホールの場合、平面が歪んでしまい、合わせた時にやはり隙間ができてしまったり、最悪の場合にはシリンダブロックやヘッド部に亀裂が入ってしまってそこから漏れるというようなことも起こります。つまりこのシリンダブロック上面とヘッド部の下面は必ず平面であり、かつ、汚れやゴミが付着していてはいけない場所なのです。大事なところです。ところで写真の右の方、シリンダブロック側面にウォーターポンプが付いたままになっているのに気付いたヒト、スゴいです。よく気付きましたね。これは実は前オーナーが乗っていた時に、交換したので、新品のような状態なのです。ですから外さずに作業を進めているのです。外すとガスケットを新しくしなければならないですから。せっかく新しいものに取り替えたのですからムダにはしたくありません。



今回、洗浄作業をしていて汚れがとくに多かったのがこの第4気筒目。ピストンにはとくに汚れが多く付着していました。外したピストンリングを見てみると、他のピストンよりもこの4気筒目が一番磨り減っているように見えます。こういう観察をしながら洗浄作業はしていかなければなりません。どこがどうなってこういう症状になったのか・・・整備は推理なのです。



洗浄し終わったピストン。右から第1気筒目です。前回お話ししたピストンリングはすべて外してあります。リングがはまる溝の中も意外と汚れているものです。キチンと外して溝の中までしっかり洗浄しなければなりません。特にオイルリングの溝は汚れが多く、しかも爪楊枝の先くらいの小さな穴が数か所に開いているのです。この穴はピストンの内側からオイルが出て来る重要な穴で、これが詰まっているとピストンの潤滑に大きな影響を与えます。今回はとくに詰まりはありませんでしたが、どんなにキレイに見えてもここはしっかり確認しないといけないところです。ピストンから伸びているコンロッドの周りに置いてあるものはクランクシャフトに固定する部品です。ここにメタルと呼ばれるベアリングが入り、クランクシャフトの回転を潤滑します。ピストンやこのメタル類等シリンダブロックに取り付ける部品にはすべて向きがあります。これを間違えると大変です。一応各部品には矢印や番号がふってありますが、ちゃんと順番通り正しい向きに並べて保管します。

さて、今日はこんなカタチで洗浄作業が終りました。明日はいよいよシリンダブロックにピストンを始めとする各部品を取り付けていきます。シリンダブロックの完成まであと少しです。お楽しみに。


   
あの名車が甦る(4)  2006年03月23日(木)
昨日は火曜日が祭日だったことで水曜日なのに振替休日でした。リフレッシュしてまた今日も作業に取りかかっております。だいぶバラけてきたので今朝は早速エンジン内部の交換部品を注文。クランクシャフトのメタル類やピストンリング、ストレーナー(オイルの吸い口部)のガスケット等々・・・。ちなみに火曜日にこのブログを更新した後、実はシリンダブロックとヘッドに分けてしまいました。その丸裸になったシリンダブロックが下の写真です。真ッ逆さまに置いてあります。こう置かないとバラせませんので。



この状態からオイルパンを外します。ご覧の通り、オイルパンの周りにはたくさんのネジが付いています。これをすべて外し、液状ガスケットで半ば接着されているようなオイルパンを丁寧に剥がしていきます。接着面にキズがつくと、組んだ後、そこからオイルが漏れる恐れがありますので。



オイルパンを外し、クランクシャフト、ピストン等の内部部品をすばて取り去ったシリンダブロック。ここから「洗浄」という戦いが始まります。作業場はまさに「戦場」です。写真の下の方にハブラシと−ドライバーが写っていますね。これを使って灯油で洗い、汚れを丹念に落として行きます。外した部品も同様に洗います。何度も言いますが、このクルマは内部はかなりキレイなので、これまで行ってきたオーバーホール作業よりは楽に洗浄できます。ヒドいクルマでは気の遠くなるような長い日々、洗い続けなければならないこともあります。



ヘッド部です。このF6Bエンジンはツインカムで、ヘッドカバーにカムシャフトが組み込まれている為、このようにヘッドを開けるとカムシャフトはいなくなってしまいます。各バルブ(上の列は吸気側、下の列は排気側のバルブ)の上下(吸気側は上に、排気側は下に)に穴があります。ここには油圧式ラッシュアジャスターが収まります。すでに引き抜いてしまった後なので穴になっています。このラッシュアジャスターとバルブの頭を連結させるようにロッカーアームというモノが付いています。このあたりの説明はヘッド部の作業の時にお話しします。写真左側から第1気筒目、一番右が4気筒目となります。このヘッド部はシリンダブロックの作業が終わるまでしばらくこの状態でお待ちいただくことになります。



取り外した第1気筒目のピストンです。写真右側がピストン、左側がコネクティングロッド(通称コンロッド)。まだ洗っていない状態です。123000kmも走ったモノとは思えない程美しいピストンです。普通はピストンの裾部分に摩擦痕やオイル汚れが付くものですが、このピストンにはそれらがまったく見られません。スバラシイの一言です。ピストンの頭の方に付いている3本のラインが解かりますか?これがピストンリングです。通常、ほとんどのエンジンにはピストンリングは3本付いています。これは頭から順番に1番、2番、3番と数え、1と2がコンプレッションリング、3がオイルリングと言います。今回のオーバーホール作業の最大の目的はこのピストンリングの交換にあります。よく観察してみると、やはりコンプレッションリングは磨耗し、さらに張力も無くなってきており、圧縮が弱まっていたことを端的に示しています。3番のオイルリングは目詰まりもなく、比較的良好な状態です。が、ピストンリングというモノは3本を同時に交換します。そういうモノなのです。



クランクシャフトです。写真右側がタイミングベルトのプーリーがハマる部分(先端が細くなっています)。左側がフライホイールに繋がる部分(極端に太くなっている部分)。1気筒目と4気筒目のコンロッドが付く部分が下に、2気筒目と3気筒目のコンロッドが付く部分が上になっています。4気筒エンジンは180度クランクと言ってこういうカタチになっています。軸部のメタルで保持されるヶ所を見ても磨耗やキズ等はまったく見受けられません。見事なまでに美しい状態です。

次回はいよいよこのシリンダブロックの組み立てにかかります。その間に例の「洗浄」作業がありますので明日更新できるか、明後日になるか正直解かりません。もし明日更新されていなければ「洗浄」が終わらなかったんだな・・・と思ってください。なにしろ当店は私1人でやっているものですから、お客さんが来られたり、電話が鳴ったりすると作業が止まってしまいますので・・・。ではお楽しみに。



   
あの名車が甦る(3)  2006年03月21日(火)
通常なら定休日であるはずの火曜日。祭日の為、営業し、明日水曜日が振替定休日。1週間の疲れがたまった体にムチを打ち、作業の続きにかかっております。



エンジンを下ろしました。ミッションもついたままです。これからエンジン、ミッションを切り離し、バラしていきます。とくにこのクルマの場合、エンジンの周りに付いている補機類が多いので丸裸にするのもひと苦労です。



ヘッド部がかなり大きめなのが解かりますか?カムシャフトが2本も付いている訳ですし、当時はヘッドのデカさがスポーツカーの証しみたいな感じでしたからね。今でこそヘッドは小さく作ってエンジンはコンパクトにまとめる風潮がありますが、バブル当時はそんなのおかまいなしでこういうエンジンを作っていた訳です。



もぬけのカラになったエンジンルーム。ヒトが入って人力車になりそうですね(笑)。余計なものは外さないという私の考え方でいろんなモノが付いたままになってます。エアコン関係の部品はまったく外していません。ボディに関してはしばらくはこの状態で放置プレイになります。

次回はバラしたシリンダブロックやヘッド部等をお見せすることにします。ちなみにこのクルマ、前オーナーがちゃんとオイル交換していてくれてたおかげでエンジン内部はとてもキレイです。その辺もよく解かると思いますのでお楽しみに。



   
あの名車が甦る(2)  2006年03月20日(月)
春の嵐が収まった今日、早速SR−FOURをバラしにかかる。まずは邪魔なものをすべて取り払うところから始める。当店にはリフトは存在しない。したがってジャッキアップしてウマをかけ、この状態からバラしていくことになる。



グリル、バンパー、ボンネットを取り去り、手を入れることができるスペースを可能な限り確保。続いてエンジンを吊り上げる際にできるだけ軽くしておくことを考えて、冷却水、エンジンオイル、ミッションオイルをすべて抜く。さらにバッテリーとその台座、ラジエター等エンジンの周りに配置されている邪魔な部品を取り除きます。



スズキ車は全般に下に下ろす方法でエンジンを抜き取る構造ではありません。上に吊り上げて抜き取る構造です。それを考えながら部品をはずしていかないといけません。まぁ、SR−FOURに関しては、スズキ車の中でもかなり特殊な構造ではありますが、基本は変わりません。私はこのクルマは何度もエンジン下ろしを経験しているので余計なものは手を付けず、必要なヶ所だけ外していきます。



ファンベルトも外します。エアコンのコンプレッサーは車体側に残しておきたいので・・・。そうすることでエンジンが組みあがって載せる際、ガスを充填したり、外したところから漏れが発生して余計な手間が増えることを極力抑えます。このF6Bエンジンはエンジン長が長く、ベルトが車体のフレーム部にかなり接近しており、わずかな隙間から太いファンベルトを引き抜かなくてはなりません。また、ベルトの各プーリーに対するかかり方も大変複雑で、たかが1本のファンベルトを引き抜くだけでもひと苦労です。

さて、この後、ドライブシャフトや配線、ホース類、フロントマフラー、マウント一式等を外してエンジンを吊り上げる訳です。この模様はまた次回。



   
あの名車が甦る(1)  2006年03月19日(日)
先日、当店のお客さんから下取った名車「スズキ セルボモードSR-FOUR」。このクルマは前オーナーがとても気に入って乗っていました。走行70000km台で購入していただいて、現在では123000kmです。今回の買い替えにあたり、このクルマをオーバーホールして乗り続けるか、たまたま入庫していた極上アルトワークスに買い替えるか散々悩んでいました。結局はワークスに買い替えることになってこのSR−FOURが入庫した訳ですが、それまでの前オーナーの悩み方はハンパではありませんでした。そのくらい気に入っていたんですね。



そんな愛情がこめられたSR−FOURを黙って捨てることはできません。ご本人の希望もあり、ゼヒオーバーホールして次のお客さんに大事に乗ってもらいたい、私と前オーナーの考えが一致し、商品化することにしたのです。

さて、このクルマ、なぜオーバーホールしなければならないのか・・・?走行距離が多く、タイミングベルトやウォーターポンプ等100000kmでやらなければならないものは一通りやってあります。しかし、肝心のエンジンがかなり圧縮が弱くなっており、1週間も乗らずに置いておくとカブってしまい、エンジンがかからなくなってしまいます。幸い、前オーナーはクルマ通勤の方で、毎日乗っていたのでそのようなことはほとんど起きなかったのですが、正月やお盆の長期の休日の間、乗らずにいてこのような症状が起こったことが数回ありました。さらに、圧縮が弱まるとエンジンそのものの出力(パワー)も低下します。これらの懸念を払拭して誰が見ても123000kmも走ってきたクルマとは思えない程のクオリティに仕上げたいと考えています。

今回のオーバーホールではピストンリングの交換を重点に置き、その他の内部部品のすべてを点検していきます。このクルマの歴代オーナーさんは合計3人で、最初の1人を除いて2人は当店のお客さんでした。どの方もオイル交換はしっかり行ってくれていましたので、内部の汚れや消耗度合はかなり良好な方です。これからどんな作業になっていくのか、私自身も開けてみないと解かりません。長い時間をかけて、ゆっくり、丁寧にやっていきたいと思います。

私、個人でも同じSR−FOUR(私のは4WD)を所有しており、こちらは140000km時にオーバーホールし、現在では160000kmを超えておりますが、未だ快調そのものです。今回のこのSR−FOURはそんな私のよりさらに上を行くクオリティに仕上げたいと思っております。作業の難易度や使用する部品の数の膨大さ等から、仕上がった際にはそれなりの金額のクルマになってしまうでしょうが、ご理解いただける方なら必ずやご満足していただける貴重な1台になることは間違いありません。作業の進み具合に合わせて随時更新していきます。お楽しみに!!


   

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