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550レックス緊急手術!!(1)  2008年06月25日(水)
こんばんは。

世の中、予期せぬ出来事はけっこう起こるものです。今回のレポートもまさにそんな感じの出来事・・・。驚くような名場面、珍場面の続出です。

そもそもの始まりは長年乗り続けていたこのレックスの前オーナーさんの買い替えによる入庫でした。そのレックスはほとんどキズもなく、事故等もやっていない極上と言えるレベルの状態でした。当店のホームページに紹介し、すぐに「欲しい!!」という方が現れて、整備にかかりました。エンジンの中身もしっかりオイル交換されていたことがすぐに理解できるような、とても20年間現役で走り続けてきたクルマとは思えない程キレイで、美しい黄金色に輝いておりました。

整備も終り、試運転に出かけた時のこと。ほんの一瞬、普通に走っていたら気づかないくらいかすかに「カリカリ・・・」という音が出ていることに気づいてしまいました。1度気になるとそればかりが耳に入ってきます。何度走ってもクラッチを繋いで走り始める瞬間にその音は聞こえるのです。点火時期やその他各部の調整も万全に行っているだけに、すぐに原因は解かりました。



クランクシャフトの交換作業に入りました。まずはジャッキアップして下に潜り込み、エンジン、ミッションのレイアウトを思い出すように確認します。このレックスの2気筒エンジンはもう10年以上下ろしたりバラしたりしていません。寝板に寝転がりながらしばらく眺めます。「周囲の隙間具合を考えればエンジンだけ残してミッションを下ろし、その状態で交換できるかもしれん・・・。」そう考えた私はその考え通りに作業を進めるのでした。



ミッションを下ろし、エンジンのみになった状態でそのエンジンを固定しようと腕力だけでグイッっとズラシてみました。すると思いの他軽く動きました。あまりにも軽く感じた私は拍子抜けと言いますか、おもわず笑いがこみ上げてきて力が抜けました。「か、軽い!!これ、わざわざこんな中途半端な状態で固定して作業するよりもそのまま力だけで下ろせるんじゃねーの?」そんなことを思い始めました。いくつかのホースや配線を外し、「よっ!!」と抱きかかえてみると・・・なんと普通に持ち上がるではありませんか!?で、そのまま下ろしたのが上の画像という訳です。



試しに、下りてからいつものようにチェーンを引っ掛け、そのチェーンを持って持ち上げてみると・・・肩にかけられるような雰囲気。腕を通し、チェーンを肩まで上げてそっと支えていた右手を放すと・・・「オォッ!!初体験!!ショルダーバッグのようだ!!」バカみたいに1人でそんなことをして遊んでる私・・・。自己満足にも程があります。こんなシーンをお客さんや出入りしている業者さんにでも見られたら・・・。バカですね。



さて、話しを戻してオイルパンを外した画像が2枚。キレイです。これまで何台ものエンジンをこうして見てきましたが、久しぶりにとてもキレイなエンジンです。ちなみに作業はエンジンを横倒し状態にして進めています。これも普通に私の腕力だけで簡単に倒せます。しかし、どうしてこんなにキレイなエンジンなのにあんな「カリカリ」音が出ているのでしょう・・・?自分の診断ミスではないだろうか・・・?そんなふうに思えてしまうくらいキレイです。



作業を進め、クランクシャフトが外れた時、やはり私の判断は正しかったということがやっと確認できました。画像はクランクシャフトを外し、残ったピストンです。裏から見ていますが、これも非常にキレイです。試しにコンロッドを引っ張ってみましたが、1気筒目はバルブが閉じているので引っ張ってもちょっと動いては吸い込まれるように元に戻ろうとします。かなり力を入れて引っ張っても引き出すことはできません。ものすごい密閉状態です。2気筒目はバルブが開いているので引っ張るとニュニュニュッと出てきますが、こちらもしっかりとピストンが密閉しているのでけっこう力が要ります。これだけ圧縮がしっかりしていればピストンをイジる必要はまったくありません。



で、例の音の原因がコレです。メタル。中央の大きなヤツはキレイですがその左にあるものや右にあるもの等は表面が削られ、銅が露出しています。ここまで磨り減っていればそりゃあ音も出ます。よくあんなかすかな音で済んでいたものです。でも・・・どうしてこんなにキレイなエンジンなのにこんなに磨り減っているのでしょうね?オイルの循環も良好ですし、まったく他の部分に損傷や磨耗、故障等は見当たりません。



外したクランクシャフト。これは交換しますので廃棄処分ですが、メタルの当たる部分にはやはりキズが付いています。この型の後、4気筒になったレックスではカムシャフトが弱く、かなり少ない走行距離のクルマでも「カンカンカン・・・」というけたたましい音がよく発生していたことを思い出しました。「アレだ。」2気筒の時代にはカムシャフトではなくクランクシャフトが弱かったのです。「弱かった」というよりも、「負荷が多くかかっている」為に寿命が短くなっていると言った方が正しいですね。というのも、クランクシャフトの両脇にはバランサーシャフトが付いていて、その2本のバランサーシャフトをクランクシャフトに鋳込まれているスプロケットを介してチェーンで回転させているのです。そのチェーンはウォーターポンプ、オイルポンプが一体となったブロックのすぐ後に付いています。この構造ゆえ、チェーンから遠い位置のメタルが偏磨耗を起します。極端に言えば、チェーンの力によってクランクシャフトに偏った方向に力が加えられているのです。ですから、そのまま20年も経てばいくらオイルがキレイであってもこのような現象が起こってしまうのです。

あとは部品が到着したら組み付けにかかります。いつものような大変な作業にはなりません。なにしろ自力で持ち上げられるエンジンですからね。一応タイトルには(1)って入れておきましたが、良くて数回のレポート、最悪、次で終り的な軽いレポートになりそうです。

ではまた。


   

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