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フレンチスタイル 知れば乗りたくなる!?フランス車事情  2007年08月26日(日)
COMFORT/乗り心地
1.快適な乗り心地の伝統はどうやって育まれたの?
 花の都パリに象徴されるように、フランスという国にはおしゃれな印象が漂う。でも、もうひとつの顔は西ヨーロッパ最大の農業国。郊外に広がるのは田園風景だ。もちろん今は地方でも道路整備が進んでいるが、かつての農道は未舗装の区間が多く、路面はぼこぼこ、うねうねとしていた。じつはそうした不整路面を快適、安全に走ることを目的に開発され、鍛えられたのが、フランス車特有の足まわりでありシートなのだ。たとえばシトロエン2CV。その重点開発項目には「かご一杯のタマゴを乗せて、ひとつも割ることなく荒れ地を走破できること」という一文があった。
 アウトバーンがドイツ車の高度な高速安定性の生みの親だとすれば、フランスの農道が育んだのはやさしい乗り心地という伝統。グローバル化が進んだ結果、お国柄と言えるクルマの個性は全体に薄まりつつあり、フランス車の乗り味もそれに含まれる。が、それでもフカッと体を包み込むあたりの柔らかいシートや、しなやかにストロークする足まわりを継承するフランス車はまだ多数存在している。プジョーが自社製ダンパーにこだわる理由もそこにあるはず。これからもフランス車は快適な乗り心地にこだわり続けることだろう。

INTERIOR QUALITY/質感
2.質感はかつての苦手項目 ドイツ車には適わない!?
 樹脂類は手に触れる部分もテカテカ、カチンカチンの硬質樹脂。かつてのフランス車のインテリアは「プラスチッキー」、「安っぽい」と表現され、商品価値を少なからずスポイルする要素になっていた。しかし、90年代の終わり頃から変化が表れ、クオリティは世代交代のたびに目に見えて向上! 最新のプジョー207などを見れば、もはや質感は「クラストップ」といっていいレベルにまで達している。そう、近ごろのフランス車の内装は、ドイツ車や日本車もうかうかしてはいられないほど高級な仕立てなのだ。リッド類の開閉感やスイッチの操作感など、まだ世界の一級と認められない部分はあるものの、センスのいいデザインと高い質感が合体したインテリアは間違いなく買いの要素。時代が変わったことを強く実感させる。ゴルフIVから始まった質感革命にもっとも大きな影響を受けたのは、じつはフランス車かもしれない。

LUXURY/高級車
3.独自の自動車税の体系が個性的な高級車を生んだ
 ドイツやイギリスでは昔から、大きなボディとエンジンをもって存在感を主張する高級車が幅を効かせている。しかし、フランス車の場合は3Lクラスが上限。その根幹にあるのは特有の自動車税制だ。シトロエン2CVは、フランスの馬力課税ランクをそのまま車名にしたものとして知られるが、「CV」を基準とした税額は大排気量になるとグーンと跳ね上がる体系。第二次大戦後に厳しさを増した。そうした税制変更と、プロレタリアート(労働者階級)の台頭が、戦前に存在したフランスの超高級ブランドを消滅させる要因になった。で、戦後しばらくすると、アッパーミドル級のボディにエスプリやセンスを目一杯に詰め込んだ、新世代のフランス高級車が誕生することに。シトロエンC6などが、その伝統を今に継承する。

GLASS ROOF/グラスルーフ
4.まるでサンルームのよう 太陽がいっぱいの仏車
 ラフェスタエアウェイブ……日本車でも1枚板の特大ガラス張りルーフをウリにするモデルが存在するが、現在のトレンドの先鞭を付けたのはプジョー307SWのパノラミックルーフと見て間違いない。ちなみに、開口部の大きさならキャンバストップに分があるが、ガラスルーフは季節や天候に左右されずに明かり取りとしての能力を発揮。耐候性や防犯性の面でも布製トップのはるか上を行く。「風よりも光」の新コンセプトがヒットの要因と言っていい。
 そして流行は世界へと伝播。だが、407SW、メガーヌセニック・グラスルーフ、C4ピカソ……と、とくにフランス車の普及度や人気が目を引く。1枚ガラスではないがアヴァンタイムの例だってある。そこで浮上するのは、「フランス人はどうしてそんなに太陽が好きなのか?」という疑問。理由は、セーヌ川のほとりなどで、人目もはばからずにトップレスになって日光浴をする人々を見ればわかる。ドイツや北欧でも傾向は同様。ヨーロッパの人々は古の頃から太陽が恋しい民族なのだ。日本と比べると、中央から北に位置する欧州地域の夏は一般的に短い。だからこそ、貴重な太陽の恵みを目一杯に謳歌しようとする本能が自然と働くのだろう。で、結論。キャビンをサンルームへと変えるグラスルーフ人気は、今度も上昇カーブを描き続けるはずだ。

NEXT MODEL/導入されるか?
5.3つのブランドが競演 08年は仏車の当たり年
 大きな注目を集めるのは、07年ジュネーブショーで市販型がベールを脱いだ2代目トゥインゴ。じつに14年ぶりの全面変更だ。サイズはひとまわり大きくなり、デザインは少し大人びたものになったが、フレンチコンパクトならではの個性は健在。日本上陸は08年が予定される。そして、プジョーは207から間髪入れずに308を投入する。写真を見ればわかるが、そのデザインは207に負けず劣らず先進的で、アグレッシブな印象。Cセグメントにおける存在感を一段と高める戦略が見える。これも上陸は08年。その前には、207シリーズにSWや1.4Lモデル(スタイル!?)が加わるはずだ。で、お次はシトロエン。期待がかかるのは、秋のフランクフルトショーで発表予定の次期C5。C6から想像すれば……デザインと走りの両面でシトロエンイストがグッと濃厚になっているはず。08年中には日本にやってきそうだ。

DIESEL/ディーゼル
6.ディーゼル大国の仏は今はまだ様子見の状態
 E320CDIの発売が契機となり、欧州でのディーゼル人気が日本でも広く知られるようになった。話題の中心はやはりドイツ勢だが、じつを言うとドイツのディーゼルシェアは欧州平均と同等の50%ほど。それを大きく上まわるのはフランスで、なんとシェア70%に届く勢いだ。当然、フランスメーカーは高性能かつ高効率なディーゼル車を数多く取り揃える。PSAのHDiモデル、ルノーのdCiモデルがそれだ。となれば、日本導入を期待したいが……事はそう簡単ではない。排ガス規制の違い、2ペダルの設定などの面で、日本対応を取ることが難しいのだ。しかも、北米市場とリンクした戦略を取れるメルセデスほどの販売も見込めない。PSAやルノーの英断を望みたい。

SAFETY/安全性
7.ユーロNCAP上位の常連と言えばフランス車
 安全性ならドイツ車が世界一。そう信じて疑わない人が多い。が、権威あるユーロNCAP(新車アセスメント)の衝突安全テストの結果を見ると、そうした一般の常識とは違う事実も見えてくる。90年代末から急速に実力を高めたのはフランス車。最近のテストでも、同セグメントのドイツ車や日本車よりも上位にランクされるケースが少なくないのだ。たとえば、プジョー207はチャイルドプロテクション4つ、歩行者保護3つを含む計12個の星を獲得して同セグメントで最高の成績を収めているし、シトロエンもC4、C5後期型、C6、C4ピカソで5つ星の評価を獲得している。また、主要8モデルが5つ星の認定を受けるルノーなどは、今やユーロNCAP上位の常連といえる存在だ。フランス車の魅力はおしゃれなデザイン性や乗り心地のよさだけではない。安全性というファクターが、現代フランス車を特徴づける大きな魅力のひとつになっていることがわかる。

NEXT MODEL/FR
8.合理主義が結実した仏車のFFレイアウト
 プジョーがFRレイアウトの505をつくっていたのは90年代初頭まで。以来、フランス車はFF一辺倒になった。しかし、合理主義を身上とするフランス人がつくるクルマが、合理的なFFレイアウトを選んだのは当然の成り行き。そもそも大排気量の多気筒エンジンを持たないのだから、FRに固執する必要性は薄い。また、歴史を辿ってもFFとの係わりは深く、世界初の量産FF車であるシトロエン・トラクシオン・アヴァンが誕生したのはなんと1934年のことだった! そう、フランスのFF車は年季が違うのだ。とはいえ新たな動きもある。それは、日産との関係から生まれるルノー製FR車の存在。現時点ではまだコンセプトカーだが……市販の可能性もゼロではない。

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