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【バイヤーズガイド】ジャガー XJ  2007年10月22日(月)
現代性を身につけた英国伝統のサルーン

運動性能や快適性、そして衝突安全性の向上といった時代の要請により
増加した車両重量を軽減するため、ジャガーが選んだのがアルミボディ
ルックスはあくまでも伝統的、だがその中身は先端技術の結晶である


伝統のデザインと先端の技術が融合

 改めて説明をするまでもなく、ジャガーXJは世界を代表するラグジュアリーサルーンの1台。アウディA8レクサスLSはもちろんのこと、その歴史は BMW7シリーズよりも長い。伝統あるXKユニットを積む初代XJ6がデビューしたのは68年。以来、英国高級車の伝統と品格を伝える名車としてファンに愛されてきた。
 そこでXJの足跡を振り返れば、初代はシリーズIIIまで発展し、フルチェンジが行われたのは86年のこと。XJ40のコードネームを持つ2代目も、ビッグマイナーによる進化の手法を取り、94年のX300、97年のX308と発展していった。つまり、03年投入の現行X350は、大まかに区分すれば 3代目にあたるモデル。XJは希にみる長寿家系なのだ。
 それだけに、いざフルチェンジとなれば大きく変わる。とくに、X308からX350の世代交代はドラスティックだった。まず注目したいのはパッケージ。 X350となり全長が65mm、全幅が100mm、全高が90mm(!)、ホイールベースが165mm(!)も拡大されたが、それは「Sクラス7シリーズと比べると狭い」と言われ続けてきた居住性を、根本レベルから改善することが目的だ。
 全高、全幅、ホイールベースの拡大は効果絶大。ようやくXJは、5mクラスの全長を持つLセグメントサルーンに相応しい豊かな居住空間を手に入れた。とはいえ、ボディサイズ拡大は重量増に直結する要因でもある。衝突安全性や剛性向上を目的としたボディ強化、安全メカや快適装備の充実と、現代のクルマはただでさえ重量増の要因ばかり。事実として、ライバルはみな2トン級のヘビーウエイトを背負ってしまっている。
 それをエンジン強化でフォローする手立ても考えられるが、そこで犠牲になるのは燃費や運動性能。けっして賢い選択ではない。しかも、ジャガーAJ-V8の排気量の拡大は4.4Lが限度(これはランドローバーが搭載)。だから、ジャガーはアルミボディ化という大改革を実践したのだ。技術開発や生産設備変更には多大なコストがかかったが、それを支えたのはフォードの資金力。この大改革は、PAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)の中核ブランドだからこそ可能だったことだ。こうしてXJは生まれ変わった。
 そのうえで伝統のスタイルを継承したのは、「ジャガーらしさ」をわかりやすく表現するための戦術。4ライトのサイドウインドーグラフィックや、格子状ラジエターグリルは初代をモチーフとしたデザインで、どこから見てもジャガー。中身が大きく変わったからこそ、ルックスは徹底して保守的に……X350の見どころは革新と伝統のバランス感覚にある。

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