ミニマムカーのパイオニアが2代目にフルモデルチェンジ!
スマート・フォーツーの新型が発表された。
ボディサイズと排気量を拡大した2代目は、シティコミューターとしての
性能を高め、エコ化が進む北米の期待を背負ったモデルとなった
わずかに2.6mという厳しい全長の制約のなかで、どのような都市型モビリティの手段を創造させる事ができるか? そもそもはそんな難題への挑戦から開発されたスマートが、2代目へと進化した。
当初はシティクーペを名乗り、後にフォーツーへと“改名”された初代がこれまでに販売を行ってきた台数は77万台余り。そんな数字はもちろん決して小さなものではないが、一方で、それは当初期待をされた数には及んでいないというのもまた確かであるようだ。今になっても、直接競合するライバルが現れないというのも、こうしたクルマのマーケティングが難しい事を示す一例だろう。
しかしそんなモデルを“発明”したダイムラーは決して諦めてはいない。それは、今度のモデルがアメリカ市場で初めて正式に発売される事になったというニュースでも証明されている。なるほど、昨今の原油価格の高騰を受けて、こうしたモデルのセールスがより上向きとなる機は熟したとも受け取れる。いまだ唯一無二の存在であるスマートによるソロ演奏曲は、いよいよ第二楽章へ楽譜を進めつつある段階なのだ。
そんな新しいスマートのテストドライブを行ったのはカリフォルニア。アメリカでの“新発売”にあたってその成功がもっとも期待をされるのが、時に渋滞も激しく、都市部では駐車難も深刻さを増しつつあるこの地であるという。
周囲を行くクルマや広い道幅との対比により、相変わらず圧倒的に小さく見える新型。が、それでも従来型に比べればボディサイズは全長で180mm、全幅で45mmとひと回り以上の拡大。アメリカ市場での法規対応や、排気量を増したエンジン搭載への適合などがその理由であるという。それにより、キャビンやラゲッジスペース容量がそれなりに増加したという副次的な効果もあるものの、一方で「スマート最大の価値とは、何を置いても圧倒的なコンパクトさにこそある」と考える人にとっては、このサイズアップに対する感想は微妙なモノとなるだろう。
見るからに「従来型への敬意」が感じられるルックスの新型フォーツーのドライバーズシートへと乗り込む。インテリアのポップな雰囲気は相変わらずだが、 S字ラインを描いていたダッシュボードがありきたりの直線処理に変わってしまったのはちょっと残念。走り出してまず感じられたのは静粛性が大幅にアップした事で、ロング・ホイールベース化もあって特有のピッチング挙動が多少なりとも弱まった事もあり、これだけでも「随分と “一人前”のクルマになった」という印象が強い。
RRレイアウトゆえのファイナル・オーバーステア挙動を抑えるべく、日常シーンでは意図的なアンダーステア傾向が感じられるのは従来どうり。アイとの血縁関係が強い三菱製の3気筒1Lエンジンと組み合わされるトランスミッションは従来同様2ペダル式MTで、シフト時のギクシャク感はかなり改善されたものの、それでもトルコン式ATやCVTのようなスムーズさにはいまだほど遠い。これ1台だけですべてのシーンに対応するのはさすがに困難という点も含め、じつは「クルマが人を選ぶ」というスタンスがとても強いのもスマートの特徴なのだ。
基本的に都市部の路上は全面駐車禁止の日本では、残念ながら今回も爆発的なヒットは望めそうにない。が、「クルマにまつわる負の部分を何とか解決したい」という初代からの意気込みの強さは、相変わらず崇高なものである。
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